コーヒーシャンプーとは
コーヒーシャンプーとは、その名の通りコーヒーを混ぜたシャンプーのことで、市販されている製品もありますが、自宅で簡単に作ることもできます。なにせシャンプーにコーヒーを混ぜるだけですから。
では何故にコーヒーなのか?コーヒー好きにはたまらない香りの良さもありましょうが、一番の利点はコーヒーに含まれるカフェインによる育毛効果です。この点について真っ先に知りたいという方は目次から飛んで下さい。
【コーヒーシャンプー】失敗しない作り方
自宅でコーヒーシャンプーを作る時のレシピは何種類もあり、色々なアレンジもあるでしょうが、基本と思われるレシピは次の通りです。
・インスタントコーヒー・3
・ぬるま湯・・・・・・・3
・シャンプー・・・・・・2
・はちみつ・・・・・・・1
・食用油・・・・・・・・1
この割合でよく混ぜます。
夏場は冷蔵庫に保存して10日程で使い切るようにして下さい。髪の長さによって使う量はかなり違うので、各自適量を考えて作るようにして下さい。
シャンプーに油!?と驚かれる方もいらっしゃるかもしれませんが、油は頭皮に詰まった脂を溶かし落とすのに効果があり、事実様々なオイルを配合したシャンプーが市販されています。キッチンに置いてある食用油なら、オリーブオイルなど使ってみてはいかがでしょうか。
自作したシャンプーは頭皮全体に行き渡らせた後、指先で十分にマッサージをし、その後ヘアキャップをしてしばらく置くと効果が上がります。最後はしっかりと洗い流して下さい。
市販のコーヒーシャンプー
自分で作るのは面倒くさい!という方もいらっしゃるでしょう。そんな方は市販の製品を購入してみてはいかがでしょうか。
ここで見て頂くのは「コーヒーシャンプー」というよりも、この記事で注目しているカフェインによる育毛効果を前面に押し出した「カフェインシャンプー」になります。
ドイツのヘアケアブランド「ALPECIN」のカフェインシャンプー4製品をご紹介します。
シリーズ基本の製品。カフェイン成分が最大の効力を発揮するよう、シャンプーを頭皮に行き渡らせてから2分間以上のマッサージを推奨しています。
スポーツやトレーニングなど強度の高い運動をしている男性向け。
フケの多い方向け。
パワフルな活性サポート力と、刺激を与えすぎない優しさ、両方を実現。
【コーヒーシャンプー】韓国で話題に
このコーヒーシャンプーは、お隣韓国の人気テレビ番組「主婦9段の万物像」で取り上げられ、新しい薄毛対策として話題を呼びました。その背景にあるものとは・・・。
薄毛対策に躍起な韓国のノム族たち
韓国は言わずとしれた美容大国。日本でも韓国メイクは人気だし、若い女性の美容整形も一般的な様子。美を追い求める姿勢は衰えを見せません。そしてそんな風潮は若い女性に限ったものではないようです。
韓国で新しい消費主体として登場した、ノム族(NO More Uncle)、ノマ族(No More Aunt)と呼ばれる人達。これ以上オジサン・オバサンとは呼ばせないという意味で、経済的に厳しくても自身を飾り立て、若々しく健康的な生活を送ることを実践しているといいます。
彼ら彼女らの主な支出先は、健康食品類や健康補助剤、機能性化粧品、フィットネス利用などで、自己管理に余念がありません。男性に限って言えば、ヘアケア製品への支出が多く、若さや外見に対する意識が高い彼らが自らの頭皮に対して、より効果的な薄毛予防法・育毛法を求めるなか、コーヒーシャンプーも刺さったようです。
世界薄毛ランキング (アデランス調査)
では韓国男性の薄毛率はどの程度なのか?
アデランスによる世界21の国と地域の成人男性薄毛調査データによれば、韓国男性の薄毛率は22.41%で、調査21カ国・地域中20位でした。ちなみに日本男性は26.78%で14位。上位はヨーロッパ諸国が占め、その薄毛率は40%以上。韓国男性の2倍近い薄毛率となります。
この調査は「あなたは薄毛ですか?」などとアンケートを取ったものではなく、調査員が肉眼で通行人の頭部を観察してカウントしたもの。つまり本当は薄いのだが、すでにカツラ・増毛・植毛などの対策済みの通行人は薄毛としてカウントされないことになります。人種、民族によって薄毛になる割合がそんなに大きく変わらないとすれば、この調査で薄毛率が低いというのは、すでに薄毛への対策を取っている男性の割合が多いと言うことができるのではないでしょうか。
外見を整えるための支出を増やすノム族たちが、この調査での薄毛率が低いと言う結果に影響を与えたと考えられます。
【コーヒーシャンプー/効果】そのエビデンス
さて、ここまで紹介してきたコーヒーシャンプー(カフェインシャンプー)が本当に薄毛対策になるのか?と疑問に思われる方もいらっしゃると思います。ここではカフェインによって毛包が刺激されることについてのエビデンスとなる論文と、カフェインシャンプーの有用性についての記事をご紹介します。
カフェインと毛包についての論文
イエナ大学のフィッシャー教授らによる論文「Effect of caffeine and testosterone on the proliferation of human hair follicles in vitro.」
(試験管内でのヒト毛包の増殖に対するカフェインとテストステロンの効果)
参照 論文データベースサイト
論文の要約の日本語訳は以下の通りです。(Google翻訳に感謝)
背景
男性型脱毛症(AGA)は、すべての年齢の男性に共通する問題であり、50歳で約50%に影響を及ぼします。 根本的な原因は、遺伝的に事前に決められた毛包のアンドロゲン(*1)依存性の小型化です。 ここでは、毛器官培養モデルを使用して、テストステロン(*2)とカフェインの効果を調査しました。 後者は、発毛刺激の有望な候補です。
(*1) 男性ホルモン
(*2) アンドロゲンに属するステロイドホルモンで、男性ホルモンの一種
方法
男性AGA患者の頂点領域から採取した14個の生検からの毛包を、通常のウィリアムズE培地(コントロール)またはテストステロンおよび/またはカフェインの異なる濃度を含むウィリアムズE培地で、試験管内で120-192時間培養しました。 毛幹の伸長を毎日測定し、培養の終わりに、毛包の凍結切片をKi-67で染色して、ケラチノサイト増殖の程度と局在性を評価しました。
結果
有意な成長抑制は、5μg/ mlテストステロンで処理された毛包で見つかりました。 これは、0.001%と0.005%の濃度のカフェインによって打ち消されました。 さらに、カフェインだけで毛包の成長が著しく刺激されました。 これらの結果は、Ki-67染色により免疫組織化学的に確認されました。
結論
AGAに苦しむ患者からの生体外での毛包のアンドロゲン依存性の成長阻害は、アンドロゲン依存性の脱毛に対して新しい物質をスクリーニングするための将来の研究に役立つかもしれない人間の毛の器官培養モデルに存在しました。 カフェインは、試験管内での人間の髪の成長の刺激物質として特定されました。 AGAの管理において重要な臨床的影響を与える可能性のある事実。
以上、学術論文の訳文というのは大変難しいものですが、要するにカフェインによって髪の成長が刺激されるという結果は分かるかと思います。
カフェインシャンプーと髪の関係 oxford Biolabの記事から
英国に本拠を置く oxford Biolab社の記事から、カフェインと育毛の関係について書かれた箇所を抜粋してみます。
参照 Why Is Caffeine Shampoo Good For Hair?
および Is There A Connection Between Caffeine And Hair Loss?
カフェインシャンプーの髪への利点
髪の成長を刺激する—カフェインは、分子レベル、細胞レベル、および器官レベルの効果を含むメカニズムを通じて、髪を刺激し、活力を与えます。
毛幹の伸びを促進する—カフェインシャンプーは個々の毛包を伸ばし、本質的に内部からの発毛を刺激します。
ヘアサイクルの成長期を延長する—カフェインシャンプーは、ヘアサイクルの成長期を延長できます。 脱毛症では、休止期の毛包の不均衡な量が脱毛につながります。
タンパク質産生を刺激する—カフェインはタンパク質発現、遺伝子発現、タンパク質分泌を調節します。 これにより、ケラチンと他のタンパク質を十分な量で生産することができます。
ケラチン産生細胞の数を増やす—ケラチンを産生する細胞の死を抑制します。 ケラチンは、髪に見られる重要なタンパク質で、髪に強さと構造を与えます。
カフェインシャンプーは実際にどのように機能するか?
男性型脱毛症の男性の真皮乳頭細胞は、脱毛していない男性よりも酸化ストレスに敏感です。 カフェインは、いくつかのレベルで遺伝的に素因のある男性の脱毛に取り組むことができます。 すなわち、カフェインはシグナル伝達分子、ホルモンのレベルを上げ、酸化ストレスのような他の要因を減らします。
脱毛に関する主要な理論は、ジヒドロテストステロン(DHT)が毛包を縮小させ、最終的に完全に死滅させるというものです。 DHTは、テストステロンが5α-レダクターゼと呼ばれる還元酵素で変換されて生成されます。
最も一般的であるFDAが承認した薬物の1つは、5α-レダクターゼ酵素を阻害する薬物です。 DHTの生成を減らすことを目的としていますが、ホルモンを妨げるため、インポテンスや心理的な問題などの副作用から、多くの男性が他の選択肢に変えていっています。
画期的な研究で、科学者は非常に少ない濃度のカフェインがテストステロンを抑制することができることを実証しました。カフェインは毛包と頭皮によく吸収されます。 これは、カフェインを含むシャンプーやコンディショナーのような日常のヘアケア製品が、髪の成長を刺激するのに有益であることを意味します。
カフェインシャンプーの副作用
カフェインを含むシャンプーは非常に安全であり、深刻な副作用を引き起こ
すことはめったにありません。ユーザーは、頭皮の赤み、かゆみ、または灼
熱感などの不快な副作用を指摘することがありますが、カフェインシャンプーに対するほとんどの反応は、特定のシャンプー中の他の成分によるものかもしれません。多くの添加物、パラベン、シリコーン類が市販されており、一部ではアレルギー反応を起こすことが知られています。ナチュラルシャンプーやコンディショナーはネガティブな経験になる可能性は低いので、敏感肌の方にお勧めします。問題や副作用がある場合は、医療専門家に相談してください。
カフェインは髪に何をしてくれますか?
British Journal of Dermatology(英国皮膚科の医学雑誌)に掲載された論文では、研究者らは、カフェインが毛包にとって驚くべき利益をもたらしたと結論付けています。カフェインが局所的に使用された場合、男性と女性の両方に陽性結果が示されましたが、女性は男性よりも顕著な効果を示しました。
カフェインの効果
毛の成長を刺激する
髪を管理しやすくする
毛の伸びを強化する
ヘアサイクルの成長期を延長する
タンパク質生産を刺激する
ケラチノサイト(ケラチンを産生する細胞)の死を阻害する
結論
カフェインシャンプーは、髪にエネルギーを与え、刺激し、改善することが科学的に証明されているため、育毛のための優れたサポートオプションです。 カフェインを含むシャンプー、コンディショナーと一緒に育毛養生法を使用すると、より太く、より健康な髪の外観を増幅し、増強することができます。
コーヒーを飲んでも、髪に対して利益はありません。カフェインが髪に到達するには、想像を絶する量のコーヒーまたは紅茶を飲まなければならないからです。健康な成人にとって安全なカフェインの摂取量は1日に400mgまでで、これは焙煎コーヒー4杯またはコーラ10缶中のカフェインの量にほぼ等しい量です。カフェインが髪を刺激する効果を最大限に引き出すためには、カフェインを使って髪に局所的に塗布するのが最善の選択です。
以上が oxford Biolab の記事からの抜粋です。
カフェインは育毛に役立つけれど、コーヒーを大量に飲んでも効果はない。直接頭皮に塗布することによって効果が期待できるということが分かりました。
特許出願公開
日本において、「カフェインを有効成分として含有する養毛化粧料」「カフェインとミノキシジルを有効成分として含有する養毛化粧料」として、平成4年に特許出願公開されていることを付け加えておきます。
コーヒー以外の選択肢 玉露シャンプーもあり?
さて、これまで育毛に効果があるカフェインを含むと言う意味でコーヒーシャンプーを取り上げてきましたが、カフェインに効果があるならコーヒー以外の選択肢もあるのでは?ということで、調べてみました。
飲料100ml当たりのカフェイン含有量は、レギュラーコーヒー60mg、インスタントコーヒー57mgに対して、玉露はなんと160mg!コーヒーの2.5倍以上です。香りも良いし、コーヒーシャンプーならぬ玉露シャンプーを試してみるのもアリではないでしょうか。
まとめ
カフェインの育毛効果は科学的に確認されているようです。ただし、カフェインが含まれている飲み物をいくらガブ飲みしても効果はありません。シャンプーに混ぜるなどして、直接頭皮に塗布し、マッサージした後数分間置きましょう。
高価な育毛剤を購入することに比べれば、お手軽&安価に始めることができます。今日から試してみてはいかがでしょうか。
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